【EV/EBITDAとは?】機関投資家が使う企業価値指標を初心者向けに図解|株価指標シリーズ⑥

🏭 EV/EBITDAは、M&A(企業買収)の世界でも広く使われる企業価値評価指標。PERとは異なり借金も含めた企業全体の価値を見るため、製造業・インフラ・資本集約型産業の評価に特に強みを発揮します。
目次

1. EV/EBITDAとは

EV/EBITDA(イーブイ・イービットディーエー)は、「会社を丸ごと買い取るとしたら、その会社が生む利益の何年分で元が取れるか」を示す指標です。考え方は③のPERに似ていますが、借金も含めて会社全体を評価する点が異なります。

🚗 「ローン付きの中古車」を買うイメージ

友人から中古車を50万円で買うとします。ところがその車にはまだ残っている30万円のローンがついていて、買うとあなたが引き継ぐことに。すると実質的な負担は「50万+30万=80万円」です。

会社の買収もこれと同じ。株式の値段(時価総額)だけでなく会社が抱える借金も引き継ぐため、それを足した金額が本当の買収コストになります。この「借金まで含めた会社全体の値段」がEV(企業価値)です。

EV/EBITDA = EV(企業価値) ÷ EBITDA
EV = 時価総額 + 有利子負債 − 現金

※現金を引くのは、買収後にその現金を借金返済などに使えるため。手持ち現金が多い会社ほど「実質の買収負担」は軽くなります。

EV/EBITDA 業種別比較とEV計算式

▲ 業種別EV/EBITDA目安(左)とEV計算のイメージ(右)
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2. EVとEBITDAの計算

EBITDAは、ざっくり言えば「本業で生み出した現金に近い利益」です。利益から差し引かれる「減価償却費(※)」などを足し戻して計算するため、設備をたくさん持つ会社同士でも公平に「稼ぐ力」を比べられます。

用語 意味 なぜ使うか
EV 時価総額+有利子負債−現金 借金まで含めた、会社を丸ごと買う実質コスト
EBITDA 営業利益+減価償却費 設備投資の大小に左右されにくい「本業の稼ぐ力」

※減価償却費とは、工場や機械など高額な設備の購入費を、一度に費用とせず数年〜数十年に分けて計上する会計上の費用のこと。実際に毎年お金が出ていくわけではないため、EBITDAでは足し戻して「現金の稼ぐ力」に近づけます。

3. PERとの違い

📌 PERとEV/EBITDAの比較
  • 📊 PERは純利益ベース。税率・財務構造・減価償却の影響を受けやすい
  • EV/EBITDAは税・金利・減価償却の影響を除外するため、国際比較・異なる資本構造の企業比較に優れる
  • 🏭 設備投資が大きいインフラ・製造業・通信業では、減価償却の影響が大きいためPERより適切なことが多い
  • 💡 目安は業種によるが、一般に6〜12倍が標準的とされる

4. 機関投資家・M&Aで使われる理由

M&Aで企業を買収する際、買い手は対象企業の「有利子負債」も引き継ぎます。そのため株式の時価総額だけでなく負債も加味したEVで評価することが実務上の必須事項です。また、国際会計基準(IFRS)と日本基準では減価償却費の扱いが異なるため、EBITDAで標準化することでグローバル比較が容易になります。

5. まとめ

項目 内容
定義 企業価値(EV)÷ EBITDA
特徴 借金・税・減価償却を除いた純粋な「稼ぐ力」で評価
適した業種 製造・インフラ・通信・資本集約型産業
目安 6〜12倍が一般的(業種・成長率による)
PERとの違い 負債を含めた企業全体の評価。国際比較に向く
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