「マイクロソフトの株が良いって聞くけど、そもそも何で儲けている会社なの?」
そんな疑問に、技術職として働く個人投資家の筆者がお答えします。専門用語はその都度かみくだいて説明しますので、投資やITに詳しくない方も安心して読み進めてください。
- マイクロソフトが何で稼いでいるのか(事業内容と強み)
- 成長性とリスク、そして株価・配当などの実際の数字
- 日本からマイクロソフト株を買う方法(1株からの直接購入・投資信託経由)
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。詳しくは記事末尾の免責事項をご覧ください。
マイクロソフトはどんな会社?
マイクロソフト(Microsoft)は、1975年にビル・ゲイツとポール・アレンの2人が創業したアメリカのIT企業です。パソコンに入っている「Windows(ウィンドウズ)」や、書類作成の「Word(ワード)」、表計算の「Excel(エクセル)」といえば、一度は使ったことがある方も多いのではないでしょうか。
創業から50年を経た現在も成長を続けており、会社の規模を示す「時価総額」(株価×発行済み株式数。いわば会社の値段)は3兆ドルを超え、世界トップクラスです。日本円に換算すると、日本のトップ企業であるトヨタ自動車の10倍以上という、桁違いのスケールです。
マイクロソフトの事業内容|大きく分けて4つ
マイクロソフトの2026年6月期の売上高は約3,318億ドル(前年比+18%)。日本円でおよそ50兆円という巨大な売上は、大きく次の4つの事業から生まれています。
① OS事業:Windows
OS(オーエス)とは、パソコンやスマホを動かすための「基本ソフト」のこと。人間でいえば脳、家でいえば土台にあたる存在で、これがないとパソコンはただの箱です。世界のパソコンの約7割はWindowsで動いているといわれ、パソコンメーカーからの使用料などが安定した収益源になっています。
※現在の決算区分ではSurface等の自社デバイスがWindowsと合算されているため、円グラフの「OS」は厳密には「OS+自社デバイス」の合計です。
② ソフトウェア事業:Microsoft 365(旧Office 365)
Word・Excel・PowerPointといった定番ソフトに、ビデオ会議のTeams(チームズ)などを加えたセット商品が「Microsoft 365(旧Office 365)」です。昔は店頭でパッケージを買う「売り切り型」でしたが、現在は月額・年額で利用料を払う「サブスクリプション型」が主流になっています。
ビジネスの現場では「Excelが使えない会社を探すほうが難しい」レベルの必需品。この圧倒的な普及率が、後述する強みの源泉です。なお、ビジネス向けSNSのLinkedIn(リンクトイン)もこの部門の仲間です。
③ クラウド事業:Azure・GitHub
クラウドとは、ざっくり言えば「コンピューターを買わずに、必要な分だけ借りるサービス」です。自前で井戸を掘らず水道をひねって水を使うように、企業はマイクロソフトの巨大なデータセンターから、必要な計算能力や保存場所を借りられます。
マイクロソフトのクラウド「Azure(アジュール)」は、Amazonに次ぐ世界第2位。2026年6月期にはAzure単体の年間売上が初めて1,000億ドル(約15兆円)を突破し、前年比+41%と、いまや会社全体の成長エンジンになっています。世界中のエンジニアがプログラムを共有する場「GitHub(ギットハブ)」もこの事業の一員です。
④ その他事業:Surface・Xbox・検索広告など
Surface(サーフェス)は自社ブランドのパソコン・タブレット。Xbox(エックスボックス)は家庭用ゲーム機で、2023年に大手ゲーム会社Activision Blizzard(「Call of Duty」などで有名)を買収し、ゲーム事業を強化しました。また、検索サービスBingや無料ブラウザEdge(エッジ)も展開しており、Edge自体は無料ですが、検索画面に表示される広告が収益につながっています。
マイクロソフトの3つの強み
強み①:製品同士が連携する「エコシステム」
エコシステムとは、本来は「生態系」という意味ですが、ビジネスでは「自社の製品・サービス同士が連携し合い、お客さんが自然とその輪の中で完結してしまう仕組み」を指します。
Windowsのパソコンで、Wordの書類を作り、Teamsで会議し、データはクラウド(Azure)に保存する——。一度この輪に入った企業は、すべてがスムーズにつながる便利さから、なかなか外に出ようとは思いません。入り口から出口まで自社製品でそろえられることが、マイクロソフト最大の武器です。
強み②:企業(法人)からの厚い信頼
マイクロソフトの主なお客さんは、個人よりも企業や政府機関です。50年にわたる実績、手厚いサポート、高いセキュリティへの投資により、「大事な業務を任せるならマイクロソフト」という信頼を築いてきました。法人向けビジネスは一度契約すると長く続きやすく、景気に左右されにくい安定収益になります。
強み③:高い「スイッチングコスト」
スイッチングコストとは、「他社製品に乗り換えるときにかかる手間・お金・時間」のこと。
例えば、全社員がExcelに慣れきった会社が別の表計算ソフトに乗り換えようとすると、社員の再教育、過去ファイルの変換、取引先とのやり取りの調整……と、膨大なコストがかかります。「多少値上げされても、乗り換えるよりマシ」と思わせる力が、値上げしても顧客が離れない収益力(価格決定力)につながっています。
マイクロソフトの成長性|2本のエンジン
成長エンジン①:サブスクリプションモデルへの移行
サブスクリプション(サブスク)とは、新聞の定期購読のように「毎月・毎年、継続的にお金を払って利用する方式」です。
売り切り型は「売れた月だけ売上が立つ」商売ですが、サブスクなら毎月チャリンチャリンと売上が積み上がり、業績が安定します。会社側は将来の売上が読みやすくなり、投資家にとっても安心材料です。マイクロソフトはOffice(現Microsoft 365)のサブスク化を成功させた、この分野の優等生です。
成長エンジン②:AI事業
マイクロソフトは、ChatGPTを開発したOpenAI(オープンエーアイ)への大型出資でAIブームの主役に躍り出ました。最近ではAnthropic(アンソロピック)など他の有力AI企業との提携・出資も広げ、「AI時代の基盤を押さえる」戦略を進めています。具体的な稼ぎ方は主に2つです。
1. Copilot(コパイロット):WordやExcelに組み込まれたAIアシスタント。「この資料を要約して」と頼める秘書のような機能で、法人向け有料ユーザーは3,000万人を突破。Microsoft 365の客単価を引き上げています。
2. Azure経由のAI利用:世界中の企業がAIを動かすとき、その計算の場所としてAzureが使われ、利用料が入ります。Azureの高成長(前年比+41%)の主因はこのAI需要です。
リスク・弱みも知っておこう
良い話ばかりでは判断を誤ります。投資を考えるなら、次のリスクも押さえておきましょう。
- 巨額のAI投資の回収リスク:AI用のデータセンター建設のため、設備投資は四半期だけで約400億ドル(約6兆円)と過去最高水準。手元に残るお金(フリーキャッシュフロー)を圧迫しており、この先行投資が期待どおり回収できるかは未知数です。
- 激しい競争:クラウドではAmazon(AWS)とGoogle、AIでも各社が激しく競っており、首位・優位が保証されているわけではありません。
- 規制リスク:世界的な巨大企業ゆえに、各国の独占禁止法(市場の独り占めを防ぐ法律)の調査・規制の対象になりやすい宿命があります。
- 株価・為替のリスク:好業績への期待はすでに株価に織り込まれていることが多く、期待を下回ると大きく下落することも。また日本から投資する場合、円高になると円建ての資産価値は目減りします。
数字で見るマイクロソフト
売上・利益は右肩上がり
| 決算期 | 売上高 | 純利益 |
|---|---|---|
| 2024年6月期 | 約2,451億ドル | 約881億ドル |
| 2025年6月期 | 約2,817億ドル | 約1,021億ドル |
| 2026年6月期 | 3,318億ドル | 1,337億ドル |
この規模で年率2ケタ成長を続けているのが、マイクロソフトの凄みです。
株価の推移|「切り取る期間」で印象は変わる
株価チャートを見るときは、2つの注意点があります。1つ目は、どの期間を切り取るかで印象がガラリと変わること。2つ目は、その銘柄だけを見ても、市場全体と比べて良いのか悪いのかは判断できないことです。
そこで本ブログでは、保有期間を3年・6年・9年・12年の4パターン用意しました。さらに、スタート時点をどれも0%にそろえる「正規化」をしたうえで、米国株式市場の平均といえるS&P500と、ハイテク企業中心のNASDAQ100という2つの指数に重ねています。
見比べると、面白いことがわかります。直近3年間だけを切り取ると、マイクロソフトはNASDAQ100に大きく見劣りします。ところが9年・12年まで期間を広げると、両指数を大きく引き離す「圧勝」の姿が浮かび上がるのです。同じ会社でも、見る期間でここまで印象が変わります。
数字で確認したい方のために、表も用意しました。
表の見方を説明します。「株価上昇率」は、現在からその年数だけさかのぼった時点で買っていた場合の値上がり率です。「S&P500(NASDAQ100)を上回った割合」は、過去のさまざまな時点で「その年数だけ保有した」場合に、指数の成績に勝てた割合=いわば勝率です。
たとえば9年間保有の勝率は99%——過去のデータ上は、ほぼどのタイミングで買っていても、9年持ち続ければ市場平均に勝てていた計算になります。逆に3年間では勝率が5割前後まで下がり、短期では市場に負けることも珍しくないことがわかります。データが示すのは、「長期保有と相性の良い銘柄」というマイクロソフトの姿です(※いずれも過去の実績であり、将来の成果を保証するものではありません)。
なお、2026年8月時点の株価は1株あたり約460ドルです。
配当も15年以上連続で増配中
配当とは、会社が稼いだ利益の一部を株主に分配するお金のこと。マイクロソフトは現在、四半期ごとに1株0.91ドル(年間3.64ドル)を支払っており、15年以上にわたり毎年増配を続けています。
株価に対する配当の割合(配当利回り)は1%未満と一見地味ですが、利益のうち配当に回している割合(配当性向)はまだ2割程度。増配余力をたっぷり残した「これから育つ配当株」という見方もできます。
日本からのマイクロソフト株の買い方
方法①:米国株として1株から買う(直接投資)
日本の主要ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券など)に口座を開けば、米国株は1株から購入できます。1株約460ドルなので、1ドル=150円で計算するとおよそ7万円から。NISAの成長投資枠の対象にもなっています(取扱いは証券会社により異なります)。
方法②:投資信託・ETFでまとめて買う(間接投資)
「1社に絞るのは不安」という方は、米国の主要企業にまとめて投資できる投資信託・ETF(上場投資信託)という手があります。実は、定番の指数に連動する商品を買うだけで、マイクロソフトの株主に(間接的に)なれるのです。
| 指数 | マイクロソフトの構成比率 | 順位 |
|---|---|---|
| S&P500(米国の主要500社) | 約5.1% | 第3位 |
| NASDAQ100(ハイテク中心の主要100社) | 約7.2% | 第3位 |
(いずれも2026年8月時点。構成比率は日々変動します)
つまり「S&P500の投資信託を100万円分持っている人」は、知らないうちに約5万円分マイクロソフトに投資している計算です。すでに積立投資をしている方は、ご自身の保有商品の中身を一度のぞいてみると面白いですよ。
まとめ
- マイクロソフトはWindows・Microsoft 365(旧Office 365)・クラウド(Azure)・ゲーム等の4本柱で稼ぐ世界トップクラスの企業
- 強みはエコシステム×法人の信頼×高いスイッチングコストによる、逃げられない収益構造
- サブスクとAIという2つの成長エンジンを持つ一方、巨額投資や競争などのリスクもある
- 日本からは1株(約7万円)からの直接購入も、S&P500(構成比約5.1%)やNASDAQ100(同約7.2%)の投資信託を通じた間接投資も可能
筆者自身、仕事で日々マイクロソフト製品に触れるたび、「この会社の製品なしで仕事が回らない企業がどれだけあるだろう」と実感します。まずは身近な製品から、企業を「投資家の目」で眺めてみてはいかがでしょうか。
本記事は情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。記載内容は2026年8月2日時点の公開情報に基づいていますが、その正確性・完全性を保証するものではなく、株価・配当・構成比率等の数値は常に変動します。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、当ブログは一切の責任を負いません。

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